住宅の購入を考え始めると「注文住宅にしようか」「建売住宅にしようか」と迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。注文住宅、建売住宅どちらにもメリットデメリットがあります。それぞれの特徴をよく理解して、自分に合ったほうを選ぶことが大切です。この記事では、建売住宅の魅力や購入時に注意する点などを解説します。
建売住宅の魅力
建売住宅とは、土地と完成した建物を一組にして購入できる物件のことです。注文住宅が“オーダーメイドの住宅”であれば、建売住宅は“既製品の住宅”というとイメージしやすいかもしれません。ここでは、建売住宅の魅力をご紹介します。
■注文住宅よりローコストで購入できる
ハウスメーカーなどの販売業者が、何棟も一気に建設して販売するのが建売住宅です。同時に建てることで、材料を安く大量に手配したり一台の重機で何棟分も作業したりとコストを抑えることが可能になります。
■手続きが分かりやすい
購入するまでの手続きがシンプルというのも特徴のひとつです。ゼロから建物を建てる注文住宅のように、何度も打ち合わせをする必要がありません。建売住宅は、土地と建物をそれぞれに購入する必要もないので、まとめて1回の売買契約で完了です。
■すぐに入居できる
すでに完成していることが多い建売住宅は、買うことが決まればすぐに入居できます。急な転勤や子どもの新学期に合わせるなど急いで決めたい方には、入居までスピード感があるのは大きな魅力になるでしょう。
■購入前に完成した家を見学できる
完成している物件を、実際に目で見ることができる点は、注文住宅では決してできないことです。実際の物件に入って見ると、入居してからの生活の様子を具体的にイメージしやすくなります。
■価格が決まっていて資金計画が立てやすい
注文住宅の場合は、土地が決まらないと建物の計画ができないため、全体的な価格が決まるまでに時間がかかります。建売住宅はすでに最終的な金額が決まっているので、注文住宅に比べて資金計画が格段に立てやすいのが特徴です。
建売住宅を購入する際に注意するべきポイント
魅力いっぱいの建売住宅ですが、知っておかないといけない注意点もあるのでご紹介します。
■周辺の生活環境をチェックする
購入する住宅だけではなく、長く生活することを考えると住宅の周りの環境もとても大切です。最寄りの駅や買い物をするスーパー、近くの病院などもチェックが必要です。
子どもがいる場合は、学校までの道のりや近くの公園などの安全面も気になることでしょう。また昼や夜、平日、休日の周辺環境も確認しておくことが大切です。
それぞれの曜日、時間帯において雑音や騒音はどうなのか、夜の治安はどうなのかも確認することで住み始めてからのギャップがなくなります。そのため、何回か内覧に足を運ぶとよいでしょう。
またハザードマップの確認も大切です。いつ何が起きるのかわからないため、洪水や地盤沈下などの災害リスクはどうなのかもしっかりと確認しておきましょう。
■購入価格に含まれている内容をチェック
比較的リーズナブルな価格が魅力ではありますが、価格に含まれているものの確認が必ず必要です。たとえばカーテンレールや物干しなど、生活に必ず必要なものでもオプション扱いになっているものがあります。
提示されている価格に何が含まれているかチェックして、思わぬ出費が出ないようにしましょう。
■こだわりの優先順位をつけておく
たくさんの物件を見るうちに、決められなくなる場合もあるかもしれません。建売住宅の場合、希望する条件がパーフェクトに揃っている物件にはなかなか出会えないものです。何を優先して選ぶのか先に決めておくとよいでしょう。
優先順位が高いものと物件を照らし合わせて、より満足できそうな物件を選ぶことがおすすめです。
■アフターサービスの内容を確認
住宅は買って終わりではありません。住み始めてからのアフターサービスも重要なポイントになります。
入居前には気が付かなかった不具合が出てくるかもしれないので、どんなアフターサービスがあるのかを確認しておきましょう。中でも瑕疵においては、住宅の引き渡しから10年間の瑕疵担保保険は義務付けられています。
そのため、確認すべきアフターサービスは、各会社独自の保証やアフターサービスがあるか否か、そしてその内容です。独自のアフターサービスとして、無償の定期点検や保証制度、迅速なサポート体制などがあれば安心でしょう。
各会社によってアフターサービスの内容は異なるため、お気に入りの物件がいくつか出てきたときには、アフターサービスで比較してみるのもひとつの方法です。
■住宅性能表示のある物件がおすすめ
住宅性能表示とは、建物の品質を第三者である専門家が評価したものです。表示内容は、専門知識のあまりない購入者にも分かりやすい表示になっています。
たとえば、耐震性などの構造に関することや、省エネ性能などの環境への配慮に関することなどです。一定の基準に則って評価されているので、比較する際の参考にすることができます。
そのため、住宅性能表示のある物件を選び、候補として見学などを行っていくとよいでしょう。
■未完成物件の引き渡しはNG
未完成のまま引き渡しを受けるのは、トラブルの元になるためおすすめできません。支払い後に建設会社が倒産するリスクもゼロではないため、引き渡しは完成後に行うようにしましょう。
■内覧会では細かいところまでしっかり確認する
内覧会では実際の建売住宅の隅々まで確認できるチャンスです。チェックすべきことは大きくわけて3つほどあります。
まずは、設備や間取りです。実際に将来、住むことをイメージして設備や間取りを確認することが大切です。
たとえばどこに家具を設置するのか、家電はどこに配置するのか、荷物の量とどれほど収納したいのかなどを念頭に置きながら内覧していきましょう。また家具や家電、収納スペースなどは実際の寸法を測りながら確認するとより現実的です。
間取りにおいては、自身の日常の生活導線を思い出しながら、導線に問題がない間取りとなっているのかを確認します。車を持っている方であれば、駐車場の台数の確認や、もしもすべての駐車場が埋まったときにも出し入れに問題はないか否かも確認しておくことが重要です。
2つめは、目には見えない箇所の確認です。内覧会では、ドアの開閉や水回りの設備など、細かいところまでしっかり確認しましょう。
入居後のメンテナンスの際に必要な点検口の確認も大切です。点検口は床下や天井裏の確認のための入り口です。
出入りが難しい構造になっていると将来のメンテナンスがしっかりできなくなってしまいます。このように目に見える間取りなどだけではなく、天井裏や床下などの普段の生活では見えないところも確認しておくことが大切です。
このような箇所を確認することで、その会社の施工の良し悪しを判断できます。
3つめは、建具の建て付けです。建具の建て付けにおいては、なるべくすべて触ったり、動かしたりして確認してみることが大切です。
ドアや窓などは確認しやすい箇所であるため、スムーズに開閉できるか否かなどは必ずチェックしておきましょう。
■住宅性能の確認
毎日過ごす住空間は快適なことがベストです。そのためには、事前に住宅性能の良し悪しをしっかりと確認しておくことが大切です。
気密性や断熱性が高い住宅であれば、夏でも冬でも1年をとおして快適に生活することができます。また防音性に優れている住宅であれば、近隣住民の騒音などにも対処できます。
そして日当たりのよさも確認しておくとよいでしょう。日当たりのよい住宅であれば部屋に日差しが舞い込み、明るい住空間が広がります。
また建売住宅は、土地とセットで販売されるため、立地においても確認しておくことが大切です。最寄り駅からどれくらいかかるのか、立地は悪くないか否かも確認しておくとよいでしょう。
■オリジナリティーがあって愛着がわくか
建売住宅はどうしても、オリジナルのデザイン性を追求するのは難しいです。しかし、何軒か外見が似ている物件があったとしても自身の気に入るポイントがあるのか否かも確認しておきましょう。
長い間、生活する住宅のため、愛着がわきそうな住宅かどうかも重要となります。そのため、外観や内観のデザイン、雰囲気などもしっかりと感じ取って判断していきましょう。
■ほかの物件との比較を行う
建売住宅を決めるときには、1軒だけではなく、ほかの物件とも必ず比較をしていくことが大切です。1軒目の物件が悪いというわけではないですが、ほかの物件と比較することでそれぞれの物件のメリットやデメリットがわかります。
その結果、自身の生活にはどのような住宅の方がよりよい生活をできるのかを判断する材料のひとつとなります。
■時間に余裕を持って行動する
建売住宅を探して購入するまでには、今までに上記で紹介したようなことに注意しながら進めていくがベストです。そのため、それなりの時間が必要となります。
期限が迫っていて急いで建売住宅を購入するのではなく、時間にゆとりを持って購入を進めていくことが大切です。そのためには、家族や自身の意見だけではなく、第三者の意見も聞きながら進めていくことで冷静な判断ができ、納得のできる答えを見つけることにも繋がります。
建売住宅探しから購入までのスケジュールを計画的に立てて、時間に余裕を持って行動していくことで、後悔や失敗しない建売住宅選びになるでしょう。
建売住宅の購入手順
物件を探し始めるところから、引っ越して生活を始めるところまでの流れを見ていきましょう。
■気になる物件を見学に行く
インターネットやポストに入る広告などで、物件を探します。気になる物件があった場合は、実際に見に行ってみましょう。
■住宅ローンの申し込みをし売買契約を結ぶ
購入が決まったら、住宅ローンの審査の申込みをします。住宅ローンを組むことができるかどうかの審査に数週間かかる場合もあるので、余裕をもったスケジュールを考えておきましょう。ローン審査が通るといよいよ売買契約です。頭金として購入価格の3%から5%の金額を準備するのが一般的です。
■引き渡しを受けて引っ越す
売買契約後は、内覧会で物件の隅々までチェックします。とくに問題がないようであれば引き渡しという流れです。晴れて我が家となった物件に引っ越しして、新生活がスタートとなります。
建売住宅の魅力や、購入するときに注意するポイントをご紹介しました。購入する際の手続きが簡単で入居するまでの期間が短いため、新生活を早くスタートしたい方におすすめの住宅です。注意が必要な点も忘れずにチェックして、後から後悔することなく、自分にあった理想のマイホームを見つけてください。