建売住宅の購入を検討する方にとって、費用面は悩ましい問題のひとつではないでしょうか。なかでも頭金をどれほど用意すればよいのかわからないという方もいるかと思います。今回の記事では、頭金の基本を確認しつつ、必要性やどの程度の金額が妥当なのか解説します。気になる方はぜひ最後までご覧ください。
頭金はなぜ必要なのか?頭金なしのリスクとは
まずは、住宅購入でよく耳にする頭金とはどんなものなのか、解説します。頭金とは、購入したい住宅の値段から、住宅ローン用に借り入れた金額を差し引いたお金のことをいいます。例を挙げれば、4,000万円の建売住宅を購入する場合、住宅ローンとして3,200万円を借り入れたら、残りの800万円分を頭金として払うことになります。ちなみに頭金と混同されやすい用語として、手付金があります。これは、住宅代の一部を前もって支払うという意味では同じですが、キャンセル料としても位置づけられるものです。
では、住宅購入する際に、なぜ頭金が必要になってくるのでしょうか。
結論からいいますと、頭金を支払うことで、最終的に購入費用がおさえられるうえ、住宅ローンの借入金が少なくなるからです。住宅購入は何千万円単位の高い買い物であるため、借入金が減れば、ローン金利も低くなり、毎月の返済額にもゆとりが出てきます。結果として、家計への負担も軽減されるうえに、完済期間も短くなります。これが頭金の役割と呼ばれるものです。
もし頭金なしのフルローンで購入すると、借入金の総額がアップし、利息も割高なものになります。負担が増えれば増えるほど、生活に影響を与えます。最悪のケースでは、返済不能に陥るリスクもあります。このため、トータルな視点で見ていくと、頭金のあるなしが、費用総額の増減につながるといえます。だからこそ、事前に頭金の支払いが必要です。
頭金を用意するならいくらぐらいが必要?
頭金の重要性が理解できたところで、次に、建売住宅を購入した場合、どれくらいの頭金が必要なのかを解説します。
住宅購入全般の頭金の相場は、だいたい1~2割が一般的なラインです。住宅金融支援機構が行う2021年度のフラット35利用者調査によると、建売住宅の相場は270万円で、住宅購入費用に占める割合が7.5%となっています。ただし、これはあくまでも大まかな目安です。あらかじめ用意できる費用には個人差があり、無理して合わせる必要はありません。
ただ、注意すべきポイントとして、購入時に必要なほかの諸費用とのバランスによって、頭金の額も決まります。ちなみに、諸費用とは、登記費や司法書士への手数料、不動産仲介料など、さまざま存在しており、相場は住宅価格の6~9%ぐらいとなっています。頭金の額を決める際には、諸費用もあわせて計算に入れることが大切です。
加えて、購入が無事に決まった後も、引っ越しや家具、家電一式をそろえるほか、日々の生活費や住宅ローンの返済もスタートします。あまりにも高額な頭金を設定すると、後悔することにもなりかねません。
頭金の金額はどうやって決めるのか?
先述したとおり、1~2割程度の相場を基準にして、頭金の額を決めるのが基本的なスタンスになります。前提条件として、諸費用でかかるお金のことも考えることが大事です。印紙税をはじめ、登記費、固定資産税、不動産仲介手数料、ローン保証料および手数料、さらに火災保険料など、どれも一定レベルの出費をともないます。
そして、これら以外にも、日常生活を維持するお金も確保しなければなりません。相場や諸費用との釣り合いをベースにしながら、ご自身の人生設計を照らし合わせる作業も重要です。頭金として支払える額は、貯蓄の程度や持続的な安定収入の有無、転職などの環境の変化が生じるかどうか、といった個人の立場によって異なります。
肝心なのは、これまで挙げた諸条件を踏まえたうえで、住宅ローン返済額も考慮しつつ、頭金の実際を決めていくことです。同時に、まさかの事態に備えて、困らないぐらいの経済的なゆとりをキープしていると、その後も安心して暮らせます。そして、生活が苦しくならないように、無理の範囲内で頭金の設定や住宅ローンの返済額を決めましょう。もしわからないことがあれば、ファイナンシャルプランナーに相談する方法もありです。
まとめ
今回は、頭金について解説しました。頭金と手付金は似ているようで異なることや、頭金の金額によって費用金額にも大きく差が出ること、そして引っ越しや登記費用などの新居移転に関わる諸費用のことも勘定に入れる。以上が、紹介した要点です。頭金の額を決めるためには、総合的な観点から判断していくことです。住宅購入は人生のハイライトといってもいい機会でしょう。暮らしに直結する買い物だけに、最大限にいいものを手に入れたいと願うもの。今回の記事を通して、頭金に対する理解が深まっていただけたら幸いです。