マイホームを購入したいと考えたとき、注文住宅と建売住宅のどちらを選ぶべきかで迷う方は少なくないでしょう。この記事では、建売住宅と注文住宅のメリット・デメリットや、どちらがおすすめかを解説します。建売住宅と注文住宅のそれぞれの特徴を理解したうえで、自分にはどちらが合うのか検討してみましょう。
建売住宅を選ぶメリット・デメリット
土地と建物が一緒に販売されているものを建売住宅といいます。分譲地に建てられた住宅を指す分譲住宅という言葉もよく耳にしますが、建売住宅と分譲住宅はほぼ同じ意味として使われることが多いです。
■建売住宅を選ぶメリット
建売住宅を選ぶ3つのメリットを紹介します。まず1つ目は、価格の安さです。建売住宅は、まとまった土地を区切って、一気に何棟かが建設されることが多いです。数棟もしくは数10棟、ときには100棟を超える規模のものもあります。そのため材料をまとめて購入できたり、打ち合わせに必要な人件費を下げられたり、効率的に建設を進めることができ、建築にかかる費用を安く抑えられます。これにより注文住宅と比べて販売価格が安くなるというよさがあるのです。
2つ目は、実際に建てられた物件を見て決められるという点です。中には建設途中から売られている建売住宅もありますが、すでに完成しているものを購入することが一般的です。自分が住んだときのイメージをしやすいため、建ててみたら思っていたのと違ったと後悔するリスクを減らせます。また、一緒に建てられた周りの家との外観の統一感があるなど、街並みが美しく整っていることも多いです。
3つ目は、スピーディーに購入し、入居ができるという点です。契約から引渡しまでの期間は完成物件の場合は1か月ほどです。転勤や子どもの入学など、早く住宅購入をしたい方にとっては大きなメリットになるでしょう。
■建売住宅を選ぶデメリット
建売住宅を選ぶデメリットも3つ紹介します。1つ目は、同じような建て方や外観の住宅が多いことです。分譲地に建売住宅をいくつか建てる場合、だいたいが同じ建て方をしている住宅になり、外観は統一感をもたせることが一般的です。間取りや仕様も、万人受けするものが多いでしょう。街並みの美しさはメリットともいえますが、理想やこだわりが強い方、個性を出したい方にとってはデメリットになりうる部分でしょう。
2つ目は、建売住宅は建築が終わっている状態で売りに出されていることが多く、土地の様子や建築の途中の過程を見られないことです。土地の状態は、住宅の耐震性や耐久性に大きく影響します。軟弱な土地はしっかり地盤改良する必要があり、基礎工事も大切です。しかし建売住宅の場合は土地の状態や家ができあがっていく過程を購入者自身がチェックできず、施工会社による手抜き建築も少なくないという問題点があります。
3つ目は、入居前に多くの人が出入りしていることです。建売住宅は売りに出されている間、誰でも見学できるため、たくさんの人が出入りしていることが多いです。間取りを知られていたり、誰かが入って部屋の中を触っていたりすることに抵抗感がある人もいるでしょう。
注文住宅を選ぶメリット・デメリット
注文住宅とは、購入した土地に、間取りや設備、外観などの希望を活かして設計・建築を行う住宅のことです。設計や建築は、設計事務所や工務店、ビルダー、ハウスメーカーなどに依頼することになります。
■注文住宅を選ぶメリット
注文住宅の大きなメリットは、さまざまな理想を取り入れた家を建てられることです。家族に合わせた間取りや好みのデザイン、壁紙やフローリングなどの内装や外装、キッチンやトイレなどの設備を、予算に合わせて思いのままに決められます。自分や家族のライフスタイルにあったオーダーメイドの住まいを手に入れることが可能です。
自由に決められるところが多い分、かかる金額の調整もできます。重視したいところにはお金をかけて、そうでないところは節約するということも可能です。また、建設現場を自分の目で確認できるところもメリットのひとつです。建設中の現場を訪れて直接チェックすることは、手抜き建築を防ぐことにもつながります。
■注文住宅を選ぶデメリット
注文住宅を選ぶデメリットは、入居までに時間がかかる点です。土地をもっていない場合は土地探しから始まります。土地を購入したら、設計や建築を依頼する会社の候補を絞り、見積りを取って決めます。
プランを確定するまでの打ち合わせを何度も重ね、その後着工です。完成したら、竣工検査や施主検査などを経て引渡しとなります。このように、理想を取り入れた家づくりができる分、すべての工程に時間がかかってしまうのです。
また、理想をかたちにしようとするので、価格が上がりやすいところもデメリットのひとつです。細部にこだわりすぎて予算をオーバーしてしまうことも珍しくないので注意が必要でしょう。
建売住宅と注文住宅どちらを購入するのがおすすめ?
建売住宅と注文住宅のメリット・デメリットを知ったうえで、どちらを購入するのがおすすめかをそれぞれお伝えします。
■建売住宅がおすすめの人
建売住宅がおすすめの人は、土地をもっていない人や入居までできるだけ時間や手間をかけたくない人、間取りやデザインが決められている住宅の中から選びたい人です。注文住宅の、さまざまな理想を取り入れた家を作れるというメリットは、裏を返せばそれだけ時間と手間がかかるということになります。
土地の購入から検討し、住宅について学び、打ち合わせの時間を何回も設け、細かい部分まで多くの決定をして、建築が始まれば実際に確認しに行く、ということは大きな負担と感じる人も多いです。そこまでの労力をかけたくないという方は、建売住宅のほうがあっているでしょう。
■注文住宅がおすすめの人
注文住宅がおすすめの人は、土地をすでにもっている人や建て替え予定の人、時間をかけて理想の家を実現したい人、外観や内装のデザインや設備などにこだわりがある人です。注文住宅のほうが向いている方の特徴として、住宅への理想やこだわりの強さが大きなポイントといえます。
建売住宅の多くは、こだわりの間取りやデザイン、設備というよりも、幅広い人向けの無難な間取りが多く、外観やデザインに関しても誰にでも好まれるような、似ているデザインの場合が多いです。自分好みのデザインの家にしたいなど、こだわりが強く、そのためなら費用や手間、時間などは気にしないという人は注文住宅がおすすめでしょう。
建売住宅と注文住宅では、一概にどちらのほうがよいとはいえません。住宅についてのこだわりや何を重視したいのかを明確にし、それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで決めるのがおすすめです。住宅購入は大きな買い物なので、迷うのであれば、まずは内覧会や話を聞きに行ってみるとよいでしょう。