「建売は注文住宅より品質が低い」あるいは「建売は注文住宅より寿命が短い」といったことを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、本当にそうなのでしょうか。正誤の判断だけでなく、そもそもなぜそのような事がいわれるようになったのでしょうか。今回はそんな「注文住宅と建売住宅の違いについて」説明します。
建売住宅は品質が低い?なぜ誤解されているのか
そもそもなぜ「建売住宅は注文住宅より品質が低い」といわれるようになったのでしょうか。順を追ってみていきましょう。
誤解の原因
「建売住宅の寿命が短い」あるいは「注文住宅に比べ品質が低い」といったイメージはどこからきたのでしょうか。これは高度経済成長期に数多く建てられたものが影響しているかもしれません。建築基準法は1981年6月に耐震基準に関する法が改正され、それ以前の旧耐震基準で建てられた物件のイメージが残ってしまっていると考えられます。
また、建築基準法にて完了検査が義務づけられていなかった2003年以前ではまったく確認内容と異なる住宅、いわゆる「違法建築」と呼ばれる住宅が多くありました。そのため耐久性に問題が生じ、寿命が短いと考えられる事が多かったと思われます。
注文住宅も建売住宅もクオリティは同じ
上記のように過去のケースから誤解が生じてしまうことはあるものの、実際に建物の質自体に明確な差はありません。なぜなら、どちらも建築基準法の基準により「建築確認」「中間検査」「完了検査」3段階で公共機関などの確認・検査を受けることが義務付けられているからです。
これらの検査をクリアしていないと違法建築となってしまうため、品質や安全性に差が生じるケースは少ないといえるでしょう。むしろ一昔前と比べてすべての建物の耐震基準が変わったことから建物住宅の品質は大きく向上したといえます。
また平成12年に施工された「住宅の品質確保の促進に関する法律」により、建売住宅の品質はさらに高くなりました。これは住宅の品質を改善して消費者を守るための法律です。
この法律では新築住宅に対して売主業者が10年間の保障をする内容が含まれているので、これによりさらに建売住宅の品質は大きく向上しています。
かつては販売した後までは販売業者に大きな責任はありませんでした。その点だけをとっても品質や安全性は大きく向上したといえるでしょう。
ただし、住みやすさに関しては異なることがあります。注文住宅は建てる人の好みや住みやすさを考えてつくられた家です。しかし建売はさまざまな人に好まれるようにつくられているので誰もが住みやすいと感じるのは難しいといえるでしょう。
また、建売住宅は涼しく冬は暖かくといった住みやすさを作るために断熱材の導入はコストを考えて省くパターンもあることから住みやすいと感じるかは人それぞれであるといえるでしょう。
違いを比較して自分に合った選択をしよう
品質は同じですが、やはり注文住宅と建売住宅にも違いはあります。これらをきちんと理解した上で自身の住宅建築の参考にするのがよいでしょう。
建売住宅のメリット・デメリット
まずは建売住宅のメリットからみていきましょう。メリットとしては注文住宅と比較しても住宅が比較的安く購入できることや購入に至るまでの期間が短くて済むといったことが挙げられます。これは材料や設備などを決められた規格の中で建てるため仕入れコストや工事に必要な期間などを削減できるためです。
対してデメリットとしては間取りやデザインなどが既に決まっているということや注文住宅に比べると資産価値が低くなる場合があるといったことがあげられます。周囲にも同じような外観が並ぶため、外観面で個性を発揮できないというのも場合によってはデメリットといえそうです。
注文住宅のメリット・デメリット
対して注文住宅ではどうでしょうか。メリットとしてまずあがるのは間取りや使用する部材を自由に選べることでしょう。生活動線に合わせて階段の配置やキッチンの配置などを自由に選ぶことができます。
また部材だけでなく、建築に使用する材料も自由に選ぶことができるのもメリットといえます。断熱材や壁材など材質の段階から自由に選べることで家全体が家庭ごとに満足度の高い仕上がりになるといえます。
デメリットしては予算オーバーしやすいことや、土地探しから建物完成まで時間がかかるといったことがあげられます。このように建売・注文それぞれにメリットやデメリットはあります。自身の優先順位を明確にし、どのような住宅建築の方法を選ぶのかよく考え、後悔のないようにしてください。
まとめ
今回は建売住宅と注文住宅の品質について、またそれぞれの違いについても紹介してみました。いかがでしたか。正誤の情報が入り乱れていて混乱している方も多いのではないでしょうか。
世の中には住宅関連以外にもさまざまな情報がネットの世界には溢れています。すべてを鵜呑みにせず、1つ1つ情報を精査し、取捨選択していくことも大切です。住宅建築に関し建売にするか注文にするか迷っている方は今回の記事も1つの参考として読んでいただけますと幸いです。